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日本航空の『8.10ペーパー』が航空業界に与える影響

最近、一部のニュースなどで日本航空の『8.10ペーパー』という単語を耳にする方も多いと思います。知らない人からすると「8.10ペーパー?なにそれ?」という状態だと思います。
今回は少し詳細を見ていくことにしましょう。

『8.10ペーパー』は実際には存在しない

いきなり冒頭でむちゃくちゃな見出しですが、実際には「これが『8.10ペーパー』です」というものは存在しません
正確には国土交通省が発行した『日本航空の企業再生への対応について』という文書になります。しかし、これを制定した日付が平成24年8月10日だったので通称『8.10ペーパー』と呼ばれるようになりました。

『8.10ペーパー』の意味

この通称『8.10ペーパー』ですが、すごい量の文章かと思うと表紙を合わせ3ページしかありません。表紙を除くと2ページ程です。これは日本航空が経営破綻して民事再生後わずか2年で再上場したことを問題視されたため制定されました。
これが当時の経営破綻から再上場までの流れです。

  • 2010年11月30日 東京地裁が更生計画案を認可。
  • 2010年12月1日 企業再生支援機構から資本金・資本準備金各1750億円(計3500億円)の出資を受け、同機構傘下に入る。
  • 2012年8月10日 国土交通省によって「日本航空への企業再生への対応について」が策定され、2016年度まで企業再生が適切かつ確実に行われ、公的支援によって競争環境が歪められていないか、航空局による監視が行われるとした(8.10ペーパー)。羽田空港発着枠において、競合他社に比べて不利な発着枠配分を受ける。
  • 2012年9月19日 東京証券取引所に再上場。企業再生支援機構が保有する全株式は約6,500億円で売却された。

『8.10ペーパー』1ページ目

これが『8.10ペーパー』の1ページ目の表紙です。
8.10ペーパーの1ページ目
これを制定した日付が平成24年8月10日ですね。正式な文書名は『日本航空の企業再生への対応について』です。

『8.10ペーパー』2ページ目

これが『8.10ペーパー』の2ページ目です。
8.10ペーパーの2ページ目
はじめに、公的支援をした理由や目的が書かれています。政府から考えても日本航空が「経営破綻したので明日から飛行機飛ばせません」と言われても困るわけですね。
抜粋して説明すると

  1. 国民の交通機関の生活の一部だからこそ公的支援をする。
  2. 確実に再生を果たすこと。
  3. 航空輸送の安全の確保は大前提
  4. JALグループ中期経営計画(2012年度~2016年度)」の期間中は監視し指導をする。

この2012年度~2016年度というのが問題で、当初は競合航空会社のANAなどは延長を求めていましたが、延長はしない方向の2016年度で終了予定です。つまりこの監視期間が2016年度つまり2017年3月31日で終わるということです。

『8.10ペーパー』3ページ目

これが『8.10ペーパー』の3ページ目です。
8.10ペーパーの3ページ目
最後の3ページ目には細かい内容が書かれています。
ここでも「JALグループ中期経営計画(2012年度~2016年度)」の期間中という単語がよく出てきます。

『8.10ペーパー』が期限切れになる影響

さてここまで『8.10ペーパー』の中身をみてきましたが、この文章が示す意味、航空業界に与える影響を考えてみます。
これまでは日本航空は経営計画したので羽田空港の発着枠が不利になっていて、ANAなど他の航空会社が有利でした。この関係が平等近くになることが簡単に予想できます。
次に国土交通省の監視や報告の必要がなくなるので日本航空は新しい路線の就航が容易にできます。他の航空会社の路線に日本航空が割り込んでくるため更に価格競争やサービス競争(機体やクラス)が増えることが考えられます。

このようなことが容易に考えられるためこれからの日本航空に注目です。

今後の日本航空の動き

JALグループは、2017年度の路線便数計画を決定しました。

  • 4月1日より羽田=ニューヨーク線開設します。
  • 成田=ニューヨーク線の成田午後発着便を現在のボーイング787-8型機(SS8)からボーイング777-300ER型機(SS7)へ大型化し、ファーストクラスサービスを開始します。
  • 成田=モスクワ線増便し、7~10月は毎日運航とします。
  • 高需要期に成田=ホノルル線を1日最大5便、関西=ホノルル線を1日最大2便に増便します。夏の高需要期にも成田発着路線においてファーストクラスを設定します。
  • 国内線は、羽田発着路線を中心として、季節需要に適合した運航を行います。
  • 伊丹発着路線を中心に、「クラスJ」およびWi-Fi無料ビデオプログラムサービスを備えたエンブラエルE190型機での運航路線拡大を図ります。
  • 鹿児島県内の離島路線には、4月下旬より順次、新機材ATR42-600型機を投入します。
  • 那覇発着路線では、ボーイング737-800型機の運航路線拡大により、「JAL SKY NEXT」サービスを拡充します。
  • 沖縄県内を中心とする離島路線では、ボンバルディアDHC-8-400CC型機を順次展開し、旅客、貨物双方の需要に対応します。

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